第27話
両手を扉の取っ手に添えたまま、その場でそれらを凝視する。
先ず素材。
そしてデザイン。
どちらの点から見ても、現代の若い女の子が日常的に身につけるような類のものではなかった。
この家のお客さんの……フォーマルドレスだろうか……?
咄嗟にそう思ったけれど……ここまで徹底して誂えられた部屋で、クローゼットの中にお客さんの私物が入っているっていうのは……どう考えても不自然だ。
ということは……。
「き……着ろと?」
これを!?
この私に!?
着ろと!?
片腕にかけていたコートを床に放り出し、恐る恐る中を確かめる。
黒ベルベットのゴシック調ドレス、ペチコートで裾が膨らんだコットンのワンピースに、白い総レースのロングドレス、ジョーゼットだかオーガンジーだか分からない金糸の刺繍が施されたストールみたいなもの……その他、フワフワだったりスベスベだったりヒラヒラだったりする素材とデザインの服多数……。
色は全体的に控えめなものが多いけれど、明らかに非日常的で……こんなの着ちゃったらティーパーティとか夜会に行かなきゃだろ?って感じ。
これも……私が喜ぶと思ってのコトなのだろうか?
それとも、おじさんの中の私は、そういうのが似合う女の子のイメージだった……とか?
「あ……」
自分の推測に思い当たるフシがあり、間抜けな声をあげてしまった。
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