第21話
「やらないよ。学校の連中を巻き込むなんて、そんな面倒な事。……まあ、峰岸経由で入ってくる情報はそこそこ利用価値もあるけど、別にアテにしてたわけじゃない」
皮肉な口調。
でも、その皮肉さのおかげで、逆に、今の発言が彼の本心からの言葉だと感じる事ができる。
良かった。
峰岸さんも麻衣ちゃんも、巻き込まれてなんかいなかったんだ。
そう思えるだけで、私の心は一気に軽くなった。
修哉おじさんの推測は正しかったんだ。
やっぱり彼は、自分の立場が不利になるような事や、自分が不利益を被るような事はしない。
だから、きっと大丈夫。
十和田さんが自暴自棄にならない限り、この公衆の面前で彼が私に乱暴を働く事は無い。
徐々に平静さを取り戻しつつある私に、十和田さんは一歩近づいて身をかがめた。
咄嗟に後退したものの、背後の植え込みに背中があたり、足が止まる。
きちんと剪定された垣根のようなそれは、私の身体を沈みこませること無く適度な弾力で重みを受け止めた。
「さて、本題に入ろうか」
耳元で囁かれて、身体に緊張が走る。
「俺が何者で、何が目的なのか……君のオジサンが君を利用しているって事も、もう全部知ってるの?」
「事情は聞きました……でも、利用なんてされてません」
顔を背けるようにして否定すると、彼は、ふっ、と呆れたように息をついた。
「健気だなぁ……まあ、そう思っていてもいいけどね。……とにかく、事情を知っているなら話が早い。俺と取引しよう」
「は?」
思いがけない言葉を吐き、ニッと笑う十和田さんに向かって、私は眉をひそめて問い返していた。
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