第22話
取引?
何言ってるの?
「君が深山修哉との婚約を解消して、俺と婚約するなら……俺は、榊に戻る。当然、深山修哉は榊に戻る必要は無い」
「はぁっ?……な、なんですか、それ……」
何を言い出すかと思えば……。
自分が榊に戻るから……婚約しろ、だ?
なにそれ……?
どうしてそうなるの?
何を企んでる?
「色々考えた結果だよ。君が俺のモノになってくれるなら、榊を継いでもいいと思っている」
「い……イヤガラセのつもりですか?私の事、なんとも思ってないくせに……そんな事……」
強張る口元を必死に動かして、非難する。
けれど十和田さんは、余裕に満ちた微笑みを少しも崩さない。
「好きだよ?このまま連れ去りたいくらいに」
好き、だなんて……。
こんな状況で、十和田さんから言われても……ときめきもしないし、嬉しくない。
そもそも、真に受けることなんてできない。
「嘘にしか聞こえません。だって……私を騙して………バイトさせてっ。私が酷い目に遭うって……知ってたんですよね?」
語気を強めて刃向かっても、周囲は相変わらず賑わっていて、私の声を気に留める人はいない。
背後は植え込み、十和田さんに追い詰められている私の図も……きっと、傍から見ればカップルが内緒話をしているようにしか見えないのだろう。
目の前では……十和田さんが、私を憐れむような眼差しで見下ろしているというのに。
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