第140話

「どうしました?どこか……痛みますか?」





頭の方から声を掛けられて、慌てて上体を起こし、私は、声がした方向へ視線を移した。





声の主……副理事長先生と呼ばれていた人は、立派な木製のデスクを離れて、私の傍へと歩み寄ってくるところだった。




「え……っ」




私はソファの上に慌てて座り直し、床に落ちた毛布を引き上げた。





「えっ?……あれっ?……あの、えっと……すみませんっ、すみませんっ」





謝りながら毛布を抱え、周囲に視線をめぐらせる。





ひぇぇ……。





なんなんだ、この状況……っ。





っていうか……ここ、どこ?






落ち着いた雰囲気の書斎のような部屋の中には、佐々木さんの姿はない。





「あのっ、佐々木さんは……?」





そう訊ねると、彼は、ああ、と声を漏らし、





「佐々木さんでしたら、心配しないように申し上げて先にお帰りいただきました」




そう言って、私の向かい側の椅子に腰を下ろした。

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