第132話
まさか、こんなところで佐々木さんに会ってしまうなんて……。
あり得ないほどの偶然に、思考回路はいっぱいいっぱい……上手く考えが巡らない。
ここにいる理由を追求されたらなんて答えよう?
……というか、小野先生が私の用件を佐々木さんに説明してしまっているかもしれない。
あああ……500円でストーブを買った事も、出品者を調べに来た事も、バレバレだ~。
何もかも上手く運ばなかったその上、職場の人に知られたくなかった諸々を知られてしまうなんて……。
なんてついてないんだ……。
再び眩んだ意識によろめいて、私は来賓用の冷たい靴箱に力無く寄りかかってしまっていた。
私が来賓入り口を出て1分も経たないうちに、佐々木さんが入り口から姿を現した。
「ごめんね~、待たせて」
羽織ったコートのボタンを掛けながら、ニコニコと駆け寄ってくる彼女を、私も笑顔で迎える。
「いえいえ、かえって急がせてしまったみたいですみません」
肩を並べてアプローチを歩き出した私達は、申し合わせたかのように、ふふふ、と微笑みあってしまった。
「いいのよ。もう、用件は済んでたし。小野先生に声を掛けて帰ろうとしていたとこだったから」
「ご挨拶って……卒園してからも、幼稚園とお付き合いがあるんですか?」
私が何気なく訊ねると、コツコツとヒールを鳴らして歩いていた佐々木さんの足が、ピタリと止まった。
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