第130話
出品者を知ることが出来なかったショックと、幼稚園に迷惑を掛けてしまったという心的ダメージで、立ち上がりざまに意識が眩む。
よろめいたはずみでコートをダラリと落としてしまい、慌ててそれを拾い上げたその時、パーテーションの向こう側から事務室のドアの開く音がした。
「すみませーん、小野先生いらっしゃいますか?」
そう呼びかける女性の声に反応するように、私の目の前の彼女がファイルを抱えて立ち上がった。
「あっ、は~い、今行きま~す。……すみません、ちょっと失礼しますね」
大きな声で答えた直後に、私に小さく断ると、彼女は急ぎ足でパーテーションの向こう側へ歩いていってしまった。
取り残された私はコートを腕に掛け、大きなため息をついた。
何も考えられない状態で、パーテーションの向こう側に出ると、小野先生と呼ばれた女性の向こう側に立っていた女性が「あれっ!」とひときわ大きな声をあげた。
私はその声に弾かれたように、声の方向に視線を向けた。
その視線の先には、目を大きく見開いた佐々木さんの姿があった。
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