第127話
平日の朝は園児達で賑わっている正門前の歩道も、休園日の午後ともなると静まりかえって人ひとり通らない。
威圧感たっぷりの門扉には、関係者以外立入禁止の文字がしたためられたプレート。
土曜日は当番の職員が事務所にいますから、と言われて、喜び勇んで来てしまったけれど、休園日にこの門をくぐるなんて……気後れしてしまうというか……。
今更ながら非常識な申し出をしてしまったような気持ちになる。
だからといって、伝えておいた訪問の時刻はもう過ぎてしまっているんだもの、いい加減、中に入らなくちゃ。
いつまでもこんなところに突っ立って中をのぞいていたら、それこそ不審人物だと思われちゃう。
私は意を決して、門柱に備え付けられたインターホンのボタンを押した。
程なくして、スピーカーから「どちらさまでしょうか」と訊ねられる。
電話で応対してくれた女性の声だ。
「先ほどお電話した安原です」
「どうぞ、お入り下さい」
そう、スピーカーから声がしたと思った途端、門扉の鍵のロックが外れる音がして。
微かに揺れた門扉をそっと押すと、キィ、という音を立てて少し開いた。
オートロックの鍵がついているという事は、中に入ったらきちんと門扉を閉めなくちゃ……だよね。
私はいそいそと門をくぐり、門扉をしっかりと閉める。
すると、そのタイミングを待っていたかのように、鍵の部分からカチッという音が鳴り、門扉が完全に施錠された事を私に知らせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます