第124話

幼い頃から、高熱の時は決まって、息苦しくて不快で意味不明な夢を見る。




けれど、今回の夢は、とても穏やかで心地の良いものばかりだった。




夢の中のケイは優しく微笑んでいて。




いつものように手を広げて、『おいで』と私を招き入れて。






変わらない暖かさで、私の身体を温めてくれていた。





どうして出てきてくれなかったのかと訊ねると、ただ、あの困ったような微笑みを浮かべて。





それがとてもリアルに感じられて……きっと今こそが現実なんだ、って、夢の中の私は確信していて……。





ケイと会えた事が嬉しくて、泣いて、泣いて……泣いて……。





泣きながら目を覚まして……現実に引き戻された瞬間こそが悪夢だと……そう呪ったほどだった。





私の願望を反映させた……それはただの夢なのだと分かっている。





ケイとの幸せな思い出を映した単純な物思い。





それは、いかに私が彼の事を好きなのかを、自分自身で思い知る為の残酷な儀式のようだった。

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