第116話

「もしもし~」




『あっ、芹花?久しぶり~、今喋って平気?』




「うん、どしたの?」




『この前はホント、ごめんね。改めてお詫びしようと思って……暇なら飲みに行かない?奢るから』




この前……ああ、亜里沙が彼氏と仲直りした日の事か……。




あの後、亜里沙からはお詫びのメールが来たし、私の中ではすっかり過去のことなのだけれど。




……それなりに悪いと思ってくれていたんだな。




「そんな、気にしなくていいのに。彼とは仲良くやってる?」




『うん、おかげさまで。トオルも芹花には申し訳ない事をしちゃった、って言ってる。だから、今夜はお詫びにご馳走しておいでって。突然だけど、どう?……なんか用事あった?』




「あっ、うん、ちょっと……今日は無理なんだ、ごめんね。その気持ちだけで充分だよ」




そう答えながら、私は、あの日の亜里沙の彼氏の必死な顔を思い返していた。




私の目があっても、そんなの気に留めていられないという雰囲気だった。




あの時は、私の立場は!?って思うほどの扱いを受けて憤りを覚えたけれど……本当に亜里沙との関係を修復したくて必死だったんだな、と思うと、微笑ましく思える。




『そっか、残念。じゃあ、また今度誘うからねっ。あ、そうそう……会ったら話そうと思ってたんだけどさ。この前、偶然、ハルミ先輩に会ってね……』




「えっ、うん、なになに?」




亜里沙に意識を戻して、私は慌てて話を合わせる。

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