第107話

『ずっと傍に、と望む事は……君の為にならないし、現実的じゃない』





「なん……で?」




強張る口元を懸命に動かして、そう問いかけるのが精一杯だった。




そんな私の様子を見ての事か……。




それとも、愚問だといいたいのか……。




彼は、呆れたように宙を仰ぎ、苦しそうな笑みを浮かべた。




『なんで、って………俺は人じゃないし』




そんな事をわざわざ言わせないでくれ、と、そう言いたげな口ぶりだけれど。




まるで、彼自身に言い聞かせているような、切羽詰まった声。





こんな今更な事、私はとっくに乗り越えて、受け入れていたのに……。





彼が自分の素性も分からないまま、それでも私の傍に、と、望んでくれていた時点で、そんな基本的な問題は私達の間では何の意味も無い事で……。





それは、彼自身も、同じだと思っていたのに……。

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