第106話
『このまま俺が君の傍にいたら、セリカはまともな幸せをつかめない……』
「は……?」
思いがけない言葉だった。
まともな幸せ、なんて……私自身、全くイメージが湧かないし、ケイがいる今こそが幸せで、それ以外の事はどうでもいいと思っていたから。
「なっ……なんでそうなっちゃうの?私、ケイの事、好きなんだよ?……今が私にとっての幸せで、ケイが傍にいなくちゃ成り立たないんだよ?」
あまりのダメージに、訴えながら笑ってしまっていた。
ケイの言い分は多分常識論で、私の言い分は非常識的だと、頭の中では理解していて。
でも、それを言ったらオシマイだよ、っていう次元の会話で。
常識論に真っ向から太刀打ちするつもりなんて、端から無いもの。
彼だって、私の事を気遣って、あえて現実を見ようとしてくれているだけで。
私がそんな事はどうでもいいと言えば、きっと……。
「ケイに何かをしてもらいたいとかじゃないの。これから先もずっと一緒にいたい、ただそれだけだよ……だから、ケイも………」
『ごめん……目を背けてた俺が悪いんだ。……もう、このストーブはつけない方がいい……』
ケイはキッパリと、私の言葉を遮った。
静まりかえった部屋の空気に、微かに響いているのは電気ストーブの呻り。
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