第92話

心臓が飛び出そうなぐらい、高鳴っている。




どうして……?




何でいきなりそんな事を……?






心の中で疑問と不安が綯い交ぜになる。





それを悟られまいと、私は唇をきつく噛みしめて視線を逸らした。




「ふ~ん?……なんかさ、噂がたったタイミングから考えると、ちょっと嘘っぽいんだよな」




「何がですか?」




「俺がこの前、ああいったから……慌てて噂を流したんじゃないかって……」




「………っ」




息を呑んで、景山さんの顔に視線を戻す。




彼は、冷たい笑みを浮かべて私の顔をのぞき込んでいた。




なんという勘の鋭さ。




私の『彼氏』の噂の真相は、矢野ちゃんと太田主任以外は知らない事だというのに。




それをここまで的確に穿ってくるなんて……。




よほど自分に自信があるか……推察力があるか……。




いや、単に彼の身勝手な妄想が、たまたま的中しただけかもしれないけれど……。

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