第85話

『君がストーブを点けると、その闇にどこからともなく光が射して、身体が解放されるような感じになる。……どういう仕組みなのかは解らないんだけど……』





彼は遠いところを見るような眼差しで、




『磁力とか、磁場とかが……関係するのかもしれない』




そう、言葉を繋いだ。




「磁力とか……磁場……」




思いがけず具体的な言葉が出てきて、私は呆然としながらそれを反芻していた。





こんな現象に、そういうモノが関係あるなんて、思ってもいなかった……。





そう言えば、家電製品からは微弱な電磁波が出てるとか……テレビで取り上げられていたこともあったっけ。





理数系が苦手な私にはピンとこない話だけど。





それなら……彼は、この電気ストーブに憑依した霊とかではなく……?





「じゃあ、これと同じ電気ストーブなら、別のでも出てこられる……かも?」





このストーブは関係ないかもしれない?





それとも、このストーブだからこそ?





このストーブの持ち主が、私じゃなかったら……彼は……どうしていた?





『さあ?どうかな』





困ったように笑って視線を落としてしまった彼に、私も思わず口を閉ざしていた。

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