第83話
どうしようっ。
なんか、変な方向に解釈されちゃったみたい……。
『確かに……こんな訳のわかんない現状を受け止め続けるのは、精神的にもツライよな』
その光の眩しさも、暖かさも、何一つ変化していないとは思うのに、寂しそうに笑う彼は、今にも消えてしまいそう。
「待ってよ、そうじゃないの……」
私は慌ててローテーブルを回り込み、彼の背中のあたりに両手を突っ込んでいた。
ただ温かいばかりの儚い手応えが、私の焦燥感を一層煽り立てる。
頬を押しあてる事も縋り付くことも叶わない現実に、思わず泣いてしまいそうになった。
「不思議って言ったのは、そういう意味じゃないよっ。受け止められないとかじゃないの。むしろ、一緒にいられて嬉しいんだよっ」
掠れた声は、微動だにしない彼の背中を通り抜けていく。
「私、あなたがいるから……家に帰ってくるの、楽しみで」
目を閉じて、身体の表面が感じているぬくもりだけを頼りに、私は必死に言葉を続けた。
「……仕事で嫌なことがあっても、頑張れるし」
ふわり、と身体全体が温められるような感覚に包まれて、胸が張り裂けそうになる。
目を閉じたままでも……彼が私に向き直って腕をまわして包み込んでくれているのが分かった。
「なんかもう、こんなに依存しちゃって、どうしようってぐらいで。でも……だから……」
閉ざした瞼に力を込めて。
こみ上げる涙を必死に留めながら言葉を紡ぐ。
「何も解らない事が……時々不安になる……」
涙は辛うじて堪えることが出来たのに、私の口から漏れ出た声は泣き声のように頼りなく震えていた。
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