第76話

見上げたイルミネーションは、青色と銀色の宝石を散りばめたように瞬いていて。




前方のカフェのドアには可愛いクリスマスリース。




道路を挟んだ向かいの美容院には大きなツリーが飾られている。





幸せそうに手を繋いで歩くカップル達。





手に沢山の買い物袋を提げて、楽しそうに話をしている若い男女のグループ。





クリスマスプレゼントを両手に抱えて家路へ急ぐサラリーマン風の男の人。





イブ当日の繁華街の光景をこうして眺めるなんて……何年ぶりだろう。





確か……元彼と過ごしたクリスマスイブ以来……。





でも、その時の街の光景なんて殆ど覚えていない……というか……見えていなかったような気がする。





それはきっと、その時の私が……今ほど満たされた気持ちじゃなかったからかも知れない……。




卒業と同時に自然消滅で別れて、それをお互いに責めもしなかったし、さほど引きずりもしなかったぐらいだもの。





その時にはもう、私自身の気持ちは醒めていたのだろう。

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