第71話
給湯室の出入り口からひょっこりと姿を現したのは、資材課の佐々木さんだった。
今週初めから休んでいた彼女とは、約一週間ぶりの再会。
出社しているという事は、もう、子供さんの怪我は大丈夫なんだろうか……。
「佐々木さん、お疲れさまです。お子さん、怪我しちゃったんですって?」
布巾を手にしたまま佐々木さんの傍に歩み寄ると、彼女は申し訳なさそうに両手を合わせて頭をさげた。
「うん。足の捻挫と打撲で……やっと痛みが引いてきたみたい。ホント、司会の件、ごめんね。ありがとう」
「いえいえ~。それより、大変だったですね。捻挫って、スポーツか何かで?」
そう問いかけると、佐々木さんは心底悩ましそうな顔でため息をついた。
「ううん。友達とふざけて。……もう、男の子は無茶ばかりするから怖いわ……」
「でも、痛みが引いて本当に良かったです。お大事にしてください」
心なしかやつれて見える佐々木さんを励ますつもりで、私は明るく言葉を繋ぐ。
「……うん。ありがと」
佐々木さんは苦笑いを浮かべて頭をさげると、開け放たれた出入り口へと向かって歩き出した。
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