第2話 聖夜

第72話

クリスマスイルミネーションの煌めく街の中、ケーキの箱を抱えて歩く。





その足取りは決して軽やかではなく……むしろ猛々しく……。






別に、クリスマスイブの繁華街を行き交うカップル達が気に障って、とかいう事ではない。






今の私の猛々しさは、会社を出る時からずっと続いているのだ。




頭の中では退社間際の私にふりかかった出来事を何度も反芻していて、その度に感情が煽られて、気負ってしまって……。





普段は入るだけで心が和むケーキ屋さんの中でさえも、気持ちは解けなくて……。





あたかも戦地へ赴く兵士のごとき気負いっぷりでケーキを選んで、店員さんをちょっと怯ませてしまった。





そうだ……まさに兵士。





会社を後にする時の私は、会社の人達に万歳三唱と日の丸で送り出された兵士のような気持ちだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る