第66話

「色々心配してくれてありがとうね。やっと気持ちが浮上してきたよ」




「ふふ、良かったですね」




「相変わらず、露骨に景山さんを避けちゃってるけど……」





「避けて当然ですよ~。どう考えても悪いのは景山さんなんですから」




そう言いながら、矢野ちゃんは、使用済みのおしぼりの束を両手で掴んで、シンクの中の洗い桶にどさりと落とした。





私が場所を譲ると、彼女はブラウスの袖をまくり上げて、豪快におしぼりを洗い始める。





「確かにね。……でも、今回のことで、私も色々反省したよ。誰に対しても笑顔で朗らかに……って、いいことだと思っていたけど……」




私がぼやくと、彼女はおしぼりを洗う手を止めて、




「笑顔で朗らかって……いい事じゃありません?」




そう、訝しそうに問いかけてきた。

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