第65話

彼は、ひたすら私に優しい。




毎晩、私の身体に寄り添って温めてくれて。




ちょっと過保護で過干渉で心配性で、時々親みたいに口うるさいけど、基本、私のことをとても気遣ってくれる。




だから私も、そんな彼の優しさに絆されて。




彼との共同生活に悦びすら感じていて。




未だに、彼が何者なのか謎のままなのに、彼に惹かれていく自分を止められずにいた。





生身の人間ではないのに……ううん、生身の人間じゃないからこそ。





素直に彼の優しさに甘えることが出来ている気がする。





必然的なプラトニックに浸って、そんな自分に酔っているだけ……と、時々冷静になって省みる瞬間もあるけれど。




それを幾度重ねたところで、気持ちに変化が起こらないのだから、それはきっと自己陶酔などでなく……。





ある種の恋愛感情じゃないかと、思っている。





……だからといって、彼のおかげで元気になった、とは、矢野ちゃんには言えないけれど……。

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