第51話

「凄い……これで光ってなければ、普通の人……みたい……」




『驚いた……。それで、なのかな?………気怠さがないんだ……。それに、思っている事を言葉にしやすいっていうか……もどかしさが消えた』




音もなく歩き、彼は、部屋の壁際に立てかけてある姿見の前にたたずんだ。




彼が、白っぽい大きめのシャツと白っぽいズボンを身につけている……ように見える。




昼光色の蛍光灯みたいに光を発しているから、実際の色が白なのかどうかは不明だけれど、パジャマの上下のようなそれは清浄で柔らかそうな印象だ。




襟元の開いたシャツからのぞく首筋のラインまで明確。




毛先にクセのある髪型は、現代の日本の若い男の人にありがちな様相で……目鼻立ちも整っている。




「そういう感じの……顔だったんだね」




『さあ?……これが俺の本当の姿なのか。……それとも……仮の姿かも?』




彼は困ったように呟いて、不思議そうに鏡の中の自分に片手を差しのべている。




まるで、鏡の向こうに映る自分を、生まれて初めて見たかのようなそぶり。

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