第50話
『……落ち着いた?』
耳元で紡がれた言葉に、ようやく頭をもたげる。
「……うん……」
漏れ出たのは酷い鼻声。
「はぁ……鼻、苦し……」
私は、口から息を吐いて、鼻を指先で押さえながら背後をふり返った。
泣きはらした両目を容赦なく眩惑する光。
その眩しさに目を細めて、彼を直視した瞬間、
「う!?」
声をあげて、反射的に身体を仰け反らせてしまっていた。
だって……
彼が……
『え?』
愕然と固まってしまっている私に、彼は首を傾げてみせた。
傾げたソレは、光の人型の頭部などではなく……生身の人間の顔そのもの。
柔らかそうな髪の毛の様子も……。
彼の腕も、指も、生身の人間のそれと同じ。
人型を成した光の物体ではなく、どちらかといえば、光の粒子に身体を包まれた人。
「うそ……だ、誰っ?それっ……何っ?それっ!」
彼から放たれている光は目を刺すほど眩しいのに、瞬きも出来なければ、目もそらせない。
『えっ?何って……俺?』
私のリアクションに怯みながら自分の腕を確かめている彼の様子は、もはや、人間そのもの。
「ど……どうして?……これ、どういうコト?……いつから?」
問いかけながら彼の髪に手を差しのべれば、やはり、指先はそれを捕らえる事はできないけれど。
ただ金色に光る人型の物体だった彼が、人の姿へと変わっていたのは確かだった。
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