第37話

お?




ここは……確か……。




……日曜日に迷い込んだ、あの路地。




さすがに日曜日の昼下がりと今とでは雰囲気が違っているけれど、間違いない。




昼間の明るさの中では廃れて見えた赤提灯も古いネオン看板も、明るく灯っていると綺麗に見える。




クラブの扉の前からは、演歌系のカラオケの歌声が微かに漏れていて。




その、少し調子外れの男の人の歌声が、妙に可笑しい。




どこか和やかに感じる裏路地の雰囲気と、一度でも通った事がある道だという安心感があいまって、私の中の緊張がほぐれていく。




この前はダッシュで駆け抜けてしまったけれど、今はのんびり歩いていても平気。



っていうか、今の私のコンディションじゃ、ダッシュしたくても出来ないんだけど。




目で見れば、足は確かに地面を踏みしめているけれど、つま先と踵が受け止める感覚は真綿の上を歩いているように不安定だった。

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