第2章

第1話 忘年会

第30話

結局、私は、あの非現実的な現象を、ありのまま受け入れる事にした。





とりあえず、悪いモノでも怖いモノでもなさそうだし。





ストーブを捨ててしまったり、しまいこんでしまうのは、なんとなく可哀相な気がしてしまうし……。




それに。




ちょっと情が湧いてしまったというか。





消さないで、とか、恐がらないで、なんて………あんな切なげな甘い声で言われたら………思わずスイッチ点けっぱなしにしちゃうし、向き合ってあげなくちゃって気持ちになる。



夕べだって、『自分の正体が何なのか分からないけど、君の傍にいられればそれでいい』なんて言いながら、愛しそうに手を握って(…というか、実際には私の手を光が包んでいただけだけど)くるし。





はっきり言って、悪い気はしない。





オカルト現象に対してそういう反応でいいのか?という、至極マトモな感覚に引き戻される瞬間もあるけれど。





今のところ実害は無いから。





何度か検証した結果、ストーブを点けさえしなければ、あの現象は起こらないという事が分かったし。





あの光のぬくもりは格別に心地よくて、包まれているだけで凄く癒されるし……。





あ……やだ………。





思い出しだけで、顔の筋肉が綻ぶ……。






「安原さん……平気?」





突然声をかけられて、私の意識は昨夜の回想から現実へと引き戻された。





「えっ、あっ、はいっ、平気ですっ」





慌てて首を振ると、私の顔をのぞき込んでいた太田主任がホッとしたような表情で笑った。

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