第27話

自分が何者かも分からず呆然と絶句した(様に見える)光の物体と、その正面で床にへたり込んでいる私との間に、数秒間の沈黙が降りた。





『 ……思い出せない………』





ポツリと呟くストーブの精。





「あの……」




私は喉の奥から声を絞り出した。




今にも卒倒しそうなぐらいパニくっているのに、それと同時に頭の片隅で、意思の疎通が出来そうだという事実を冷静に受け止めつつある自分がいた。





多分……大丈夫。





襲いかかってくるような気配はないし。





あっちも、現状に困惑してるっぽいし。





声には邪気が無いし、優しそうだし、……ちょっと好みの声だったりするし。





って、それはこの際、どうでもいいんだけど。





とにかく、幻覚だとしても、幽霊だとしても、話し合ってみる価値はありそうだから。





「えっと、自分のこと……わ、分からない……の?」




私は意を決して、落胆して俯いている(様に見える)光の物体に問いかけた。




『……覚えていない。どうしてこうなったのか。ただ………』




顔と思われる部分を上げて、私を真っ直ぐ見つめているようなその様子に、私の胸がドキリと高鳴った。

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