第26話

でも、本当に。





この現象自体は怖くないんだもの。





こうして光に包まれていると、まるで……





まるで、優しく抱きしめられているみたい……。





胸元に視線を落とすと、私の身体に巻きついている光の帯が、人の腕の造形へと変化している事に気が付いた。





げ!?





マジで、抱きしめられてる。




私ってば、抱きしめられる幻覚見ちゃうほど欲求不満だったの……?




っていうか、こんな症状、恥ずかしくて医者に相談できないんですけど……。




『凄い……望んだとおりになった……』




人型を成した光の幻覚は私の身体を抱きしめたまま、感激したように呟いた。




まるで、生きている人のような、ハッキリとした声音と口調で。





『……驚かせてごめん……混乱させて…ごめん』





光の物体は、私の身体に絡めていた触手をゆっくりと解き始める。




これは……。





これは……本当に幻覚?






「や、やだ……話し…できるの…?なんで?幻覚なのに…っ」






『幻覚じゃない………俺は……』






「え?」





『俺は……』





「……?」






『……俺……誰……だっけ?』





「えぇぇ……?」

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