梗概
【真識―MASHIKI―の梗概】
これは、
古来より真識人は、族長と呼ばれる一人の老婆に導かれ、その類稀なる療術で人々に貢献してきた。しかし彼らは、強烈な禁断症状をもたらす不老の薬『不老長寿薬』という劇薬も生み出していた。それがある時、世に出回り、薬の犠牲者を大勢出してしまう。やがて犠牲者達は真識に恨みを抱き、『狩る者』として真識人の命を狙うようになった。結果、真識人はその誉とともにF県の山中深くに身を隠し、人々の記憶から消える道を選んだのである。
時が経ち、現代に至っても真識の隠遁生活は続いていた。不老長寿薬の力で生き続ける族長のもと、小さな医療結社を作り僅かな患者を相手に活動していたのである。『狩る者』の呼び名は『ハンター』に変わっていた。
愁一郎は、真識人の父を持つ十六歳。真識の一員として幼い頃から療術を学んできた。優秀な治療家である父、
高校入学から三カ月が経過した頃、愁一郎は同じクラスの新聞部員、
お友達になってからも、愁一郎との距離を詰めてくる民子。愁一郎を気に入り舎弟呼ばわりしてくる不良、
一方、真識の村では、愁一郎の幼馴染である食餌療法師の
斎藤の検査が上手くいって、有頂天になっていた愁一郎。しかし翌日、酷い生理痛を抱える民子に無理をさせて気絶に追いこむという大失敗をおかしてしまう。更には、大屋敷に運んで処置をしたことで、村の存在を民子に知られてしまった。『真識』の名だけは隠し通し、村について公言はしないと民子に約束させた愁一郎だったが、口止め料として大量の手作りジャムパンを献上したり、民子の生理痛の施術に関わったりと、望まない交流が増えてしまう。また、極秘であるはずの『真識』の名を斎藤が口にした、という報告を浅葱から聞かされるなど、心配の種が尽きない日々が始まる。
ある日、民子や斎藤を交えてグミのジャムを仕込んでいた愁一郎は、斎藤から、村にある猟銃の数を訊かれる。斎藤を危険視した愁一郎は、「浅葱だけは裏切るな」と警告。それは、会社の上司、
翌朝、斎藤が自白の手紙を残して姿を消したことで屋敷は騒然となる。その日の夕方には、真識に間違われた民子がハンターらに誘拐され、続いて変電所も襲われ周辺の町は混乱する。
ハンターのリーダー的存在である、滝口の説得に失敗した斎藤は、誘拐された民子を自転車で追ってきた木村と遭遇し、愁一郎に連絡を取る。愁一郎は、真識の仲間や木村らとともに民子の救出に乗り出す。
ハンターらと口論の末、『不老長寿薬』を無理やり飲まされた民子だったが、直後突入してきた愁一郎らに助けられ、薬も無事に吐き出した。
ハンターらを警察に引き渡した愁一郎は、真識の情報と誘拐事件を忘れさせるため、一日分の記憶を消す薬を民子に飲ませる。罪悪感と喪失感から、気落ちする愁一郎。しかし後日再会した民子は記憶を保ったままだった。忘れ薬は車酔いで吐いちゃったと話す民子を前に、愕然とする愁一郎。
また愁一郎は、ハンターらを相手に真識の味方を貫いてくれた民子が、自分が幼い頃から求めていた存在だと気付いた。無謀だと思いながら、もう忘れ薬は飲まずに真識を覚えたままでいてほしい、と頼んだ愁一郎に、「ばっちこい」と親指を立てて了承した民子。愁一郎は民子を抱きしめ、「ありがとう」と泣きながら、上辺だけの友人関係に終止符を打った。
愁一郎は、真識という癒し手の性に目覚めながらも、その精神は開花途中である。その未熟な癒し手の精神が、民子をはじめとする人々との出会いを通じて、また少し、蕾を開いた。
真識ーMASHIKIー みかみ @mikamisan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます