主人公の愁一郎は、少数民族「真識」の血を引き、療術を学びながら高校に通っている。
ハンターと呼ばれる集団に狙われる真識の人々。彼らと愁一郎は、正体がばれないように隠れ里でひっそりと暮らしていた。
そんな愁一郎の生活は、新聞部員の名取民子や不良の木村大輔との交流を通じて変化していき――
日本ファンタジーノベル大賞の一次通過作ということで興味が湧き、拝読しました。
有名な賞の一次選考を通過された作品だけあって、読みやすい文体でサクサクと読み進められ、あっという間に読み終わりました。
読んでみて、本作の一番の魅力だと思ったのは整体関連の描写です。どこが悪いのか、どうしてこの施術が必要なのかなど納得感のある描写や、知らない情報がいっぱいでした。東洋医学に最近すこし興味があるので、そういう意味でも面白い情報の宝庫でした。
登場人物の書き分けも巧みで、どの登場人物もキャラが立っていました。なかでも、スクープへの飽くなき情熱を燃やす民子が明るくて楽しいキャラで魅力的でした。