第37話

コンテスト会場を出て、フェルカと並んで帰り道を歩く。


「少し考えたらわかることだったんです。侵略対象の学校に転校生として入学できる侵略者なんて、大層お偉い方しか無理な話でした。結局私も浮かれ切って正気じゃなかったってことですね」

「……黙っててごめんって、僕これ以上ないくらい謝ったよね?」

「被害者にその態度ですか?散々学んだ言葉の使いどころですよ」

「被害者って、あんなに楽しそうだったのに」


 結局世界は、元の形に戻ることはなかった。

 しかし未知の形になることも、またなかった。


 フェルカの思念体は特殊な装置を通して、芸術の星全体に一つの思念を浸透させた。『言葉と思念は優劣のないツールである』と。

 芸術の星も、神秘の星も、お偉いさん方が対応に追われ、あわや私の小説に矛先が向かいそうになったのを止めたのがフェルカである。彼が一言話すだけで誰もが黙って言うことを聞くのだから、その時の驚きといったらもう……。


 世界はどちらとも取れない中立の形で収まって、今では言葉と思念を使いこなしている。


「そういえば、アルハに謝られましたよ」

「……へぇ」

「フェルカに脅されたとも言ってましたが」

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