第33話

芸術コンテストの会場内は多くの参加者でいっぱいだが、その誰もがただ静かに緊張の面持ちで審査を待っている。ホールに適当に置かれた椅子に座っていると、隣の椅子が軋む音がした。


「お待たせ。遅れてごめんね」


 フェルカだ。


「来てくれないかと思いました」

「まさか」


 疲れた様子の彼は、用事が立て込んでいたらしい。そんな中でも私が相談の電話をかけると絶対に出るのだから、途中からは笑ってしまったくらいだ。

 彼は私を見て、意地悪く笑う。


「共犯者でしょ、僕たちは」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る