第31話

心臓がトクトクと動き始めている。嬉しくって跳ねるみたいに。まるで小犬みたいに。

 あぁ、そうだ。フェルカの手を取ったあの日も、こんな風に、生きてるって感覚に満たされた。


 あの日手を取ったのは私だったのに、どうして自分から手を放してしまったんだろう。


 リンからもらった電話番号を打つ。電話のコール音が鳴り始めた。一回、二回。……それがプツリと途絶えた。


〈もしもし?〉

「……フェルカ、お願いがあるんです」


 許して、なんて言わないから。ただ、もう一度。キミの隣で夢を見させて。

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