第30話
「委員長!」
声が聞こえて振り返る。遠くから駆け寄ってきたのはハルだった。
「コレ、返す」
ハルが私の手を取って何かを握らせてくる。そっと手を開くと、そこには見慣れた半透明のカケラが薄く光を帯びていた。ほんの少しのカケラだけど、分かる。コレは私の思念体のカケラだ。
ハルの方を見れば、彼女はバツが悪そうな顔をして、口を開いた。
「アンタの、小犬のカケラ。アルハから渡されてたんだけどさぁ、……コレにどうこうすんのは、なんか違うでしょ」
「なんでアルハが」
「アイツもあれで色々思うところがあるんじゃないの。その辺はアタシが口出しできることじゃないから聞いてない」
「そう、ですか」
もう随分話していないその顔を思い出す。良い思い出はない。それでも協力してくれていた彼に、あの時の私はちゃんと返せていたのだろうか。
「委員長はさ、自分に努力が足りてないって気づいて変わろうとしてたのに。アタシそれをバカにした、そういうのが一番嫌だってアタシは分かってたのに」
「それは……」
「ごめん。最低だよ、アタシ」
素直な言葉が、ストンと胸に落ちる。
「アンタと一緒にやってる、リン?って子にめちゃくちゃ怒られたわ。本も渡されたし」
「でも、もうコンテストは来週ですよ」
「知ってる。だからコンテストどうするかは委員長が決めて。……でも一緒に大賞争いしたいなって思うし、もし作品出せたらそうなると思う」
そう言って彼女はミルクティーみたいに優しい色の瞳を緩めた。……それじゃあ、私の作品はハルと同じくらい評価されるって言ってるようなものじゃないか。
「じゃあね、また今度」
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