第29話
「リンが初めてメイサさんの作品を拝見したのは、入学前に見た発表会なんです」
「去年の、見てたんだ」
「はい。あの時は本当に驚きました。同じ世界に生きているのに、この方はこんなにも繊細に見えているんだ、と」
そこで彼女は言葉を止めると、私に頭を下げた。
「申し訳ございません。リンはお二人が話していた内容をアルハさんに伝えてしまいました」
「……そうだったんだ」
「リンは自分に自信がありませんでした。誰かのお役に立てれば何でもいいと思っていました。そのせいでアルハさんにメイサさんを傷つけさせてしまったのですよね」
本当に申し訳ございませんでした、と彼女は口にした。そうして顔を上げた彼女は真っすぐに私を見据える。
「でも今は違います。リンはメイサさんの夢を手伝いたいのです」
「リン……」
「きっとフェルカさんも同じですよ」
出されると思っていなかった名前に体に力が入る。
「この間1年の教室にいらっしゃって、教えていただいたんです」
「何で私に渡すの?」
彼女はにっこりと微笑んだ。仕方ないな、とでもいうように。手がかかる子供にするみたいな優しい笑顔。
「メイサさんの方が必要そうなので」
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