第19話

週半ば、今日は進捗を見たアルハによる指導から始まった。


「まずは試作品作ってみたらどうッスか?」

「試作品って、まだ書けてないですけど」

「途中でいいッスよ。形にしたらモチベもあがるし、コンテストにも先行展示で提出できるッス」


 アルハの言葉にリンが首をかしげる。


「先行展示なんてコンテストの詳細にはありませんでしたが……」

「禁止されてないならやっていいんスよ。実際、前のコンテストではあったらしいッスね」

「そんなことあります?」

「もう戦いは始まってるってことでしょ。じゃー俺らは色々手続きしとくッス!ほら、リン行くッスよ」

「え、あ、はい!」


 飛び出していった二人を見送る。


「作業しますか」

「そうだね、試作品も作るなら切りのいいところまで仕上げちゃおうよ」


 資料を並べてパソコンを開く。さすがにもう何十回もやっているから慣れたものだ。小犬も呼んで準備は万端。というところで電話の音が響いた。


「あ、ちょっと電話だ」


 フェルカは電話で一言二言話すと、大きく溜息を吐いた。


「ごめん僕、用事できちゃったや」


 そう言いながらフェルカはさっき広げたばかりの資料を片付け始める。用事ができたと言いつつ、その動作はどう見ても急いでいる様子はない。なんなら小熊が資料を引っ張って片付けの邪魔をしているくらいだ。


「随分行きたくなさそうじゃないですか。何事です?」

「あぁ、設備の調整しに来いってさ」

「設備?」

「大勢の人に強制的に思考を共有するためのやつ。ちゃんとした設備がないと思念がまとまらなくて難しいんだよ」

「その設備の調整ですか」

「そう。僕って意外と忙しいんだよねぇ……」


 だらだらと話していても、手を動かしていれば片付けは終わる。荷物をしまったフェルカは手をひらひらと振った。


「じゃあ、頑張ってね」

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