第8話

「今日は転校生を紹介するね。フェルカくん入ってきて!」


 今朝のニュースで騒がしかった文芸科の教室は、担任の一言でシンと静まり返った。静かな教室に扉の開く音が響いて人が入ってくる。目を疑った、書店で会った少年が入ってきたから。

 藍色の髪に深い海のような瞳、今日は丸い眼鏡をかけていて、より一層真面目そうな雰囲気を持っていた。じっくり見てみれば端正な顔立ちをしており、教室の所々で息をのむ音が聞こえてくる。その綺麗な顔がゆっくりと正面を向いた。


「はじめまして、神秘の星から来ましたフェルカです。よろしくお願いします」


 その言葉を理解した瞬間、脳内が怒りに染まる。

 何で神秘の星のヤツが文芸科に?お前たちが言葉を失くしておいて、今更何を。


「フェルカくんはまだ慣れないことも多いだろうし、分からないことがあったら委員長さんに聞いてね」

「……ッ!」

「はぁい」


 咄嗟に抗議の声を上げそうになって、グッと飲み込む。空席に向かう途中、彼は私に明るく声をかける。


「よろしくね、委員長」

「……よろしくお願いします」


 最悪だ。

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