第12話

「本当にキラキラですよ!なんだかしょっぱい香りもします。これが潮風ってやつですね!」

「海の中入るか?」

「大丈夫です。流されたら大変なので」

「あぁ、そう……」



 なんでそこは冷静なんだよ。


 家から電車で一時間、海というには身近にありすぎてなんだかつまらないものな気がする。九月になったからか潮風は少し肌寒く、浜辺に人はほとんどいない。



「私、シーグラスなるものを見てみたいです!」

「……何それ?」

「ガラスの欠片です。親戚みたいなものなんですよぉ」



 少女に言われた通り波打ち際の辺りを探していると、ソレは意外とすぐに見つかった。曇りガラスのようになった丸みを帯びた小さい欠片。緑や青の欠片は光を浴びてそれはキレイに輝いていた。



「欲しいの?」

「ふふ、大丈夫です。ただ見たかっただけなので」

「はぁ?なんでまた」

「……コレ、私たちの欠片なんですよ」



 あ、全部が全部じゃないですよ?と彼女は続けた。



「三日間が終わってもう一度同じ人に見つけてもらいたいって時は、私の今いるビー玉の欠片を持っていてもらって目印にするんです。たまにありません?端が欠けてるやつ」

「あー、たまに見かけるような?……じゃあこれは?」

「一年って意外と長いんですよね」



 彼女の声が少し遠くなった気がして、シーグラスから目を離してビー玉を覗く。


 少女は体育座りをして俯いていた。少女の細い腕が自分を守るように、ぎゅうっとその小さい体を抱きしめた。



「こんなに小さい欠片じゃ、忘れられちゃうんですよ」

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