第4話
ラムネのビー玉ってさ、普通のよりちょっとだけデカくて特別感あるよな。瓶の口をわざわざ開けて取り出してからラムネを飲む。うわ、滅茶苦茶飲みやすいわ……。なんでわざわざビー玉使ってんの?
じっとりと汗ばんだ体に冷たい炭酸がしみこんでいく感じがする。ずいぶん久しぶりのような気がするが、やっぱうめぇ。
「うっわ、袖まで濡れた……」
公園の水道でシャツの袖をびちゃびちゃにしながらビー玉を洗って、こんな気まぐれ起こすんじゃなかった、と早くも後悔する。
まぁ、どうせ息抜きだしこのくらいは……。……やっぱり、嫌なもんは嫌だな。
タオルで拭いたビー玉を空にかざすと、夕日がギラリと反射して目を細める。小さいころはこうやってビー玉越しに見た別の世界があるとか思ってたっけ。そんなもん無いんだけどな。
眩しさに耐え切れなくなってパチリと瞬きをした瞬間、持っていたビー玉を落としそうになった。
「……ンだコレ…………」
夕日の橙色と夜の藍色が混ざったなんとも幻想的な色を、青みがかったビー玉が飲み込んで映し出すその中に、誰かが眠っていた。
それは白いワンピースを着た少女だった。同い年くらいだろうか、少しあどけなさの残る寝顔に一瞬息が止まる。頭を飾る白いカチューシャが幼さを助長していて、なにかマズい事をしているような罪悪感のようなものが押し寄せる。いや、俺なんもしてなくね?夕日にかざしたまま、その誰かにおそるおそる声をかける。
「……あのー?」
「……んぁ、あれぇ?私寝てたぁ……?まぁいっか……」
「よくねぇよ、オイ」
俺の声にまだ眠り足りないとでもいうように少女が目をこする。肩のあたりで切りそろえられた黒髪がふわりと揺れて、丸くて大きい黄昏の空の色をした瞳がこちらを認めたと思うと、こぼれ落ちそうなほどさらに大きく見開かれた。
夕日の橙色に照らされた小さい唇が、言葉を紡ごうと動かされたのを俺はただ呆然と見ていることしかできなかった。
「今日、何月何日ですか!?」
「……九、月、八日、金曜日デス」
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