私について
①
この実話の物語を始める前に、まずは私についてお話ししたいと思う。
私こと、売れない小説家もどきでペンネーム
自分でこう言うのも何だが、保育園時代までは割と人気者だったと思う。双子であるという事がかなり大きかったのだろう。アルバムの写真を見返してみれば、赤ちゃんの頃からその保育園時代に至るまで、近所の人や保育園で同じクラスの子達など、いつもたくさんの人達に囲まれて楽しそうに笑っている姿ばかり写っている。
今でこそさほど大した事はないのだろうが、昭和という時代の中、双子という存在と概念はよっぽど希少だったのかもしれない。どこに行ってもちやほやされるというか、とにかく物珍しがられた。あと、妹は少し病弱だった事もあったので、まるで妹の分の元気まで吸い取ったかのように健康体だった私は、物心付いた時には「自分は姉である」という自覚を早々に持ち、いつも妹と一緒にいた。それも加わった事で、余計に珍しがられる部分もあったと思う。
保育園時代までは、別にそれでもいいと思っていた。双子であるという事、その姉であるという事が当時の私にとって大きなアイデンティティであり、子供なりに誇らしかった。他の誰も持っていない自分と妹だけのステータスであり、それが一生続くものだと信じて疑いすらしていなかった。
周りの空気が一変したのは、小学校入学直後の事だ。
保育園と違って、関わる人間の数や環境の大きさ、否が応でも押し寄せてくる情報量の多さに混乱するだけなら、まだよかった。自分の中で対処して、うまく消化すればいいだけの話なんだから。
だが、まさかそのせいで、これまで自分と妹に向けられていた目まで変わってしまうだなんて思いもしなかった。
どうしてあんな事が起こってしまったのか、大人になって、それなりにいい年になった今現在でも全く分からない。
これからも、きっと分からないままなんだろう。たぶん、一生。
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