第60話

「しおみといいます」



こそ、と名前を紡ぐと、彼女は大きな眸で瞬きをした。

何コレ、何か分かったんですか。


少し見上げられた後、彼女はやっと帽子に手をかける。


「あ。あたしはhanoといいます。本名はかいはらはのんです」


「はあ」




おお、思い出した。



hanoってあれだ。今凄く雑誌の表紙とか多い…帰国子女とかいうモデル。


めっちゃ売れっ子だ。



ハノは脱いだ帽子に視線を置いて、それから再び見上げて、口を開く。



「これ、男女兼用?」



おお、タメ口きくね。お互いいくつか知らないけど。



「多分」


そう返すと、彼女は帽子を見つめて可愛いと呟いた。あ、やっぱモデルなんだ。




「しおみ、頭ちっちゃいんですね」



「え、あ、頭?」



うわあ、呼び捨てかーー。すげーー。

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