第52話
待て。
俺は他人にどう見えていようが御年二十九歳だぞ。
にじゅうきゅうさいはこれが夢だとか思わない。
「―――…え、ゆめ?」
アッ、しまった思わず。
とか思っているうちに啓はぱくっとバナナに噛り付きやがった。
そんなものはどうだっていいのに、お陰で俺だけ辱めにあうところだった。
「庵さんって本当よくそこで寝ていますよね、寒くないですか?」
もっ、もっ、と口をもぐもぐさせながら、啓はふわりと両腕を広げた。何その腕。もしかして二十九歳に胸に飛び込めっていってる?
あ?
寝起きの眠たい目をぼうっと閉じたり開けたりしながら見ていると、啓もまた何かに気付いたように、あ、と声を上げた。
それでいいんだよ。
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