第34話
「来ないでって言ったのに!目立つんだから止めてって」
「目立つわけあるかバァーカ」
「あるわ!!」
風華はそう言うと爪先から頭の天辺まで見て、もう一度「目立つわ」と繰り返した。
俺はないなという目で風華を見下ろす。
「ちょっと久しぶりだろ」
そう呟くと、風華は怒った顔を緩めて、小さく頷く。
その姿に思わずブ、と顔を背けて笑ってしまう。
「…髪染めた?ってか俺の真似した?」
落とした視線の先の彼女が目を丸くしたのを見て、確信。
「暫く会ってなかったよな?前に会ったとき染めてたっけ」
触れない髪に問いかけると、風華は「どこにいても目につくもん」と真面目な顔をして言い、歩き出す。
その隣を歩きながら、何も言わずに軟い光を落とす空を仰ぎ見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます