第34話

「来ないでって言ったのに!目立つんだから止めてって」


「目立つわけあるかバァーカ」


「あるわ!!」



風華はそう言うと爪先から頭の天辺まで見て、もう一度「目立つわ」と繰り返した。



俺はないなという目で風華を見下ろす。




「ちょっと久しぶりだろ」



そう呟くと、風華は怒った顔を緩めて、小さく頷く。


その姿に思わずブ、と顔を背けて笑ってしまう。




「…髪染めた?ってか俺の真似した?」




落とした視線の先の彼女が目を丸くしたのを見て、確信。



「暫く会ってなかったよな?前に会ったとき染めてたっけ」




触れない髪に問いかけると、風華は「どこにいても目につくもん」と真面目な顔をして言い、歩き出す。



その隣を歩きながら、何も言わずに軟い光を落とす空を仰ぎ見た。

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