第33話
「ふーうか」
騒がれることを避けて、大学構内から外れた路地で彼女を待つ。
手帳と睨めっこしながら角を曲がってでてきた彼女の名前を呼べば、はたと顔を上げ、目が合う。
「げ」
「こら、『げ』って何だ!」
風華(フウカ)。
そう呼ばれた彼女は辺りを見渡して知り合いがいないことを確認した上でもう一度俺に目をやる。
顔を顰めて。
それからこちらに向かって歩いて来たと思えば、あっさり俺の横を通りすぎた。
それに気付いた俺はその瞬間、風華の細い手首を引いた。
少し強い力でそれを引けば、あっという間に風華は俺の方へ身体を戻される。
で、見上げる眸は強気で、何か反論したげだ。
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