第32話
「御門くんこっちに目線お願いしまーす」
「はいオッケー!今度横顔ねー目線外してー」
「完璧です、チェック入りまーす」
・・・
割と静かなスタジオ内に、カメラのシャッター音と声が混ざる。
それが止めばメイクさんが前髪やら襟やら、僅かな直しを施しにくる。
「息を呑むほど綺麗な顔なのに、御門くんは口悪いのが惜しいなー」
「そういう風に思ってたのか」
耳元の髪に伸びる手にそう言うと、メイクさんは「甘い顔だよね、だから余計かな」と笑顔。
俺はそれをぼんやりと見つめていた。
撮影が終わればすぐ、着ていた白いニットを脱いで、元の暗い色のパーカーを上から被る。
片耳にピアスが引っかかったことで外していなかったことに気付き、それを外して、すぐマスクを。
お疲れ様です、と挨拶をしながら鼈甲色の伊達メガネを掛けて、その場を後にした。
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