第27話
眸を閉じれば、今も。
思い出される情景がある。
それは俺にとって、思い出したくない情景でもあった。
でも、忘れられないという事実が。
それを何かに変えようと、形あるものにと、考えているのかもしれなかったから。
また、今も思い出す。
そうして、瞼を押し開けてきた。
ふと画面上に映し出される名前に、現実へと引き戻される。
イマイチからの着信。
『環くんごめん、オフ中』
「うん、お前ほんと俺のこと好きな?」
『は!?』
思い切り苛つきを声にするイマイチに、思わず声を上げて笑う。
『いい加減にしろ。いい歳こいて』
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