第14話 敵基地へ侵入

一方独立王国を掲げた兵士達は周りを完全に固めていた。

 さすがはクーデターを起こしただけあって警備には怠りがないようだ。

 だが真由美は、千歳駐屯地の施設は政府の一部しか知らない非難通路と有事に備えた地下室を幸二に知らせてあった。情報収集の超エリートと言われただけあり、その情報は凄いものがある。彼らは他に通路があるとは知らない。クーデターを起こした最高幹部四人に真那井と梅木が加わり、なにやらキノコ鍋を中心に酒盛りをしていた。独立宣言を出したにも関らず日本政府からなんの回答も行動を起こしてないことに、クーデター成功を喜び、祝杯をあげていた。


「諸君、我々の独立王国は九十%が成功したと言ってよいだろう。下手に政府が行動を起こせば内戦になるだろう。そうなれば韓国と北朝鮮のような関係になる。それは望まないだろう。つまり道民を人質に捕ったも同然だからな。独立と言っても同じ国民だ。中国と香港のような関係を保って行けば良いのだ。それで王国の名前だが王国に相応しい名前は無いか? ワッハハハ」

 一方の幸二は麻由美が用意した洞窟の地図を広げ何度も確認していた。暫くして幸二がニヤリと笑った。何かを見つけようだ。自衛隊の特殊工作員に告げた。

「ここでちょっと待っていてくれ」

 そう言って一人何処かに消えた。洞窟を歩くこと七分ほど幸二は軽く布を当てて慎重に壁を叩いてみた。一カ所だけ明らかに音が違う。幸二は防毒マスクを着け特殊な手袋をし、自衛隊が用意して来た特殊な液体をコンクリートの隙間に注射針のようなもので液体を注ぎ込んで行った。少し時間が掛かるので暫く待っていた。それから軽く叩くとポカリと穴が開いた。これが旧日本軍作った別の通路のようだ。いったいどれほど掘ったのだろうまるでモグラの穴のようだ。縦百三十センチ横に百センチほどの通路が現れた。人が一人通れるほどの通路だ。幸二はゆっくりと二百メーターほど進んだ所で何やら下から音が聞こえて来た。それは人の声だ、それもかなり人数が何やら大声で喚いている。幸二はニヤリと微笑む。なんと奴らの真上に辿り着いたのだ。爆薬を仕掛けるは最高の場所である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る