第9話
「うぅ、やっぱりかっこいい」
コートを目の前にして部員達とは少し離れた場所から矢崎くんを堪能する。
「ははっ、相変わらずのベタ惚れですね。まだ彼女にしてもらえないんですかー?」
思わず溢れた溜息に、蓮くんが面白そうに笑う。
失礼だな、とは思うけど、いつものことなのでまぁ私もだいぶこの対応には慣れた。
「可哀想だと思うなら、蓮くんからも矢崎くんに私の事アピールしてよ」
愚痴混じりの言葉に、蓮くんは困った表情をした。
「俺も分かんないんすよね、春山先輩って意外と可愛いし、意外と優しいし、どこが不服なのか……っていうか、俺から見ても寧ろ……」
意外と、を連発されては貶されてる感ハンパない。
でも、蓮くんなりの分析に、私はしっかと耳を傾けた。
「こら、サボってんなよ!」
コートの中から矢崎くんが蓮くんを見つけて声をあげた。
すみません!と慌ててコートに戻る蓮くんの話は結局中断されて実入りは何もなし。
一人になっても、その場から離れる気にはなれず、コートの中で真面目に乱打を続ける矢崎くんを見ていた。
そんな彼が急にコートから出てきて、しかも私に近づいてくるのに驚いて思わず姿勢を正した。
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