第2話
買い物したいって言ったのは美奈ちゃんなのに、なぜかファミレスに移動することになった。
「蘭……。なんで美奈に恋話したの?」
眞冬ちゃんは基本、恋愛が嫌いなため恋話も参加しない。
「だって……。悩んでたんだよ?私」
「恋とは女の永遠のテーマですから!」
美奈ちゃんはメニューを見ながら楽しそうに選ぶ。
「さいっあくだー……」
眞冬ちゃんは呟き買ってた雑誌を開いた。
都ちゃんも静かにメニューに目を通す。
「で?蘭。なんだっけ?」
注文が終わると美奈ちゃんは私に笑顔を向けてきた。とびっきりの笑顔。
「フクがキスしてくれないんだっけ?」
私は小さく頷いた。
そう、それが最近の私の唯一の悩みである。
「前はね??
『チューして』とか『キスしたい』って言ったら優しくしてくれてたんだよ!
でも、最近は『学校だから』とか『風邪引いてるから』とか、挙げ句の果てに『テスト近いから』とか意味分からないよ……」
だってゆきくんは風邪なんて引いてなかったし、テスト近いとか本当に理由になってない!
ってゆうかテストこの前、終わったばっかだし!
「蘭ちゃん、そんなに福本先輩とキスしたいの?」
都ちゃんが不思議そうに聞いてくる。
「したいよ!唇が寂しい!」
私がそう言ったら美奈ちゃんが頷きながら私の肩を叩いた。
「分かる、分かる!」
美奈ちゃんは最近、彼氏さんと別れたばかり。
そして美奈ちゃんは都ちゃんに話をふる。
「都だってさ、彼氏いるよね?なんだっけ、えーと……」
「
都ちゃんが答える前に眞冬ちゃんが雑誌を見たままボソッと答えた。
「そうそう!
っつーか……、何でまふゆが答えんの?」
私も美奈ちゃんに一票。
するとまふゆちゃんは雑誌から顔を上げた。
「超イケメン。ね、みやこ」
眞冬ちゃんはイケメン大好き。
だけど都ちゃんは首を振る。
「なに謙遜してんの?
やばいからね、マジ。
年下なのに身長もあるしさ。
あんだけイケてりゃ、そりゃ都も付き合うよ」
都ちゃんの顔はみるみる赤くなる。
「まふゆちゃん、どこで会ったの?!」
私が乗り出して聞くと、まふゆちゃんも乗り出す。
「凄いんだよ、やすちか。
都のこと、迎えに来たんだよ」
「やめてよ」と、都ちゃんが手でまふゆちゃんを制す。
そして赤い顔のまま私に向き直る。
「今は蘭ちゃんの話でしょ?」
やすちか、気になる……。
でも、私の話もちゃんと聞いてほしい……。
「蘭ちゃん、それで?」
都ちゃんが促す。
「あ、それでね。
それって私の魅力が足りないのかな?」
私は最近考えて出た最も有力な答えを三人に言ってみた。
美奈ちゃんが真剣に考えて独り言見たく呟く。
「まぁ……、魅力があったらそりゃ思わずキスしたくなるか」
眞冬ちゃんは注文した坦々麺を食べ進める。
そして、言った。
「つーかさぁ、美奈。
多分、あんたが思ってるキスと蘭が思ってるキス、違うと思うんだけど。
蘭が言ってんのはチューの話でしょ?」
眞冬ちゃんは冷静に聞いてきた。
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