1-6 Episode:1 end

玄関でタカフミさんを見送り、事務所に戻ると開口一番、

「どうだった?イケメンだった?」

手元のポケモンカードを整理しながらハジメさんは言う。

「結構タイプでした」

「いいじゃん、役得~」

「しかも年齢24歳でした。あのスペックなら誰とでもできそうなのに。なんでわざわざ売り専なんて使ってるんでしょうか」

「色々事情あるんじゃない?私らが知らないだけで有名人だったりして」

「まさか」

そうは言いつつもその可能性は拭えなかった。芸能人には疎い。アイドルやテレビの露出がある人なら兎も角、SNSをあまりやっていない自分はインフルエンサーとかYouTuberとかには全然詳しくない。

「ま、色々あるんじゃない~」

それより、とハジメさんが切り出す。

「もう一戦、やろう」


結局シフト終わりまでハジメさんにポケモンカードを付き合わされた。一度ギリギリ勝てそうだったがやはり一勝もできなかった。私の運が良かっただけよ、とハジメさんが笑う顔を思い出す。

職場から最寄り駅までの間、なんだか少し心が晴れやかだった。金も稼げたし、いい男ともヤれた。今日はラッキーデーだな。そんなことを考えていると、不意にスマホから通知が鳴った。

見ると同じ風俗友達であり、吉原の高級ソープ嬢である夢子さんからだった。内容としては、「今度行われるバレーボールの試合のチケットを二人分欲しいがチケットが抽選販売で買えるかどうかわからない、名義を貸してほしい。お金は払う」とのことだった。丁寧にチケット販売サイトのURL付きで、その下には「おねがいします!」と書かれたプラカードを持ったミッフィーのスタンプがついていた。

夢子さんは断るほどでもない面倒ごとを僕に頼んでくる事がたまによくある。まさしく今回のことのような。彼女らしい。苦笑しながらURLを開く。

チケットの販売サイトのトップ画面には夢子さんが推しているチームのメンバーが勢ぞろいしている画像があった。

その中の一人を脳が認識した瞬間、びっくりして大声を上げそうになった。落ち着け。街中だぞ。見返したが、今日の今日だ。間違えるわけがない。

そのメンバーの中に、先ほど自分を買った客、飛田鷹史とびたたかふみがそこにいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る