第91話



「……ふふふ、真壁響くんって言うんだ?」


「……っ、」



縛られた手足。ガムテープで塞がれた口。赤いネイルが施された指先が俺の頬を擦りあげ、にったりと不気味に歪む赤い唇。



「ずーっと見てたんだよ?綺麗な子だなぁって」


「んっ、……んーー!」


「ふふ、怯えちゃって、可愛い」



因果応報って本当にあるんだなって思った。


学校の帰り、突然ぶつかってきたこの女にスタンガンで倒され、意識を失った。次に意識が戻った時にはもうすでに1Kのこの部屋にいた。


ベタベタと我が物顔で俺に触れる女は、学ランのボタンをひとつずつ外していく。



「ああ……すごい、綺麗。まだ大人になりきらない男の子の身体って感じで……すっごく興奮する」


「ん゛んっ、……ん゛んん!!」



ハアハアと気持ち悪い息遣いで腹部から胸元まで舐め上げる女に泣きそうになった。怖くて、気持ち悪くて……こんなんなら、今すぐにでも死んでしまいたい。



「あ、すっごい、可愛い……」


「……」


「もう、泣かないで?気持ちいいこと、お姉さんが教えてあげるだけだから」



黙れ、犯罪者。触んな、死ね、失せろ、消えろ。


心の中でどんな罵詈雑言を投げようが、塞がれた口からくぐもった声が漏れ出るだけ。

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