第90話
「……あっ、ん、」
性感帯っていうやつを触ってやれば簡単に身体を跳ねさせる女。適当に喜んで、適当にイッて、適当に機嫌よく帰ってもらえれば、これからも俺の計画に付き合ってもらえる。
「ね、響……そろそろ」
「はぁ、……じゃ、いつもの」
「…………分かった」
枕で顔を覆う女に涼を当てはめた。スラリと伸びた躯体。部活ばかりの毎日で日焼けした彼女の肌は……きっと服の部分だけ透けるような白色をしているのだろう。
「……んっ、は、」
「響、あ、ひび、」
「くそ、声出すな!」
「……っ」
涼、……お前はこういうとき、どんな声で喘ぐ?どんな顔で快がる?……好き、好きだ。涼。もっと俺で頭いっぱいになって。早く俺のものになって。
——……曲がってた。歪んでた。この時の俺は本当に腐ってた。
いつだって俺のことを応援してくれる涼のことを素直に応援できず、彼女の気を引くためならなんでもやって、彼女に相応しくない……穢れた獣に成り下がった。
いつまで経っても俺を迎えに来てくれない涼。足掻けば足掻くほど彼女との距離が開く気がして、でも足掻いていなければ不安で、怖くて。
『響は私の"プリンセス"だから。何があっても守ってあげる』
ガキの頃、口癖のように言っていた彼女の言葉を時々思い出しては、……喉に刺さった小骨のようにチクリチクリと心臓を刺された。
俺はもう、涼が守りたかった"プリンセス"なんかじゃない。
不潔で、醜くて汚い……俺が大嫌いな奴らと同類。
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