Special story
響side—思春期の真相—
第86話
「あ、直江さんだ」
「今日も美人だなぁ……」
【立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花】。俺の幼馴染はまさにそんな奴だった。
「綺麗すぎて俺らじゃ絶対無理ってわかってるけど……」
「でも、話すとすげー気さくで優しいから、あれ?いける?とか思っちゃうんだよなぁ」
「……分かる。上品で、すげー性格いいよな、直江さん」
「女子が騒ぐの納得。俺が女子でも直江さんと付き合いてぇ」
男女問わず好感を持たれる見た目、性格。俺がうまく生きられない人生を悠々自適に生きている。
「……おい、涼!」
「おわ、……なに?ビックリした」
涼の噂話をしていた男たちに聞こえるように大きな声で彼女を呼んだのは牽制のため。これは俺のだってあいつらに見せしめるためだ。
ビクッと肩を揺らして振り返った彼女は今日も綺麗だった。切り揃えられた艶のあるショートカット。大人っぽい切長の奥二重を縁取るまつ毛は長く、全体的にシャープなパーツはまるでおとぎ話に登場する美形な王子のよう。
……好き。めっちゃ好き。
少し前まで見下ろされていた彼女に見上げられれば、激しく胸が高鳴るし、セーラー服から透ける黒いキャミソールの影に軽率に欲情するし……。
「……どうしたの?響。熱中症?」
「っ、」
呼んだくせに黙りこくったままの俺を心配して顔を覗き込んでくる涼。こちらに伸びてくる手を取って、「今日、一緒帰るよな?」と誘えば、帰ってくるのは「あー……」とキレの悪い返事だった。
「今日は陸部の練習あるから」
「……は?それ、俺より大事?」
「部活復帰したばっかりだし……頑張らなきゃ次の大会間に合わないの」
「……」
申し訳なさそうにこちらを見上げる涼。中学に入ってからつまらない。前は俺のことを一番に優先してくれたのに。
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